ティーン・ザ・ロック
「あの……聞いてる?」
放心状態のあたしを、不安そうに見てくる彼。
だって、え。今までそんな素振り見せなかったのに……ホントに本当なの?
「嘘じゃないよね?本気にしていいんだよね!?」
問い詰める私に若干後ずさりしながらも、『うん』と頷いてくれた。
「………信じたくなかったら別に良いけど」
拗ねた様な顔と声で呟く彼。まさか!!そんなことできる筈が無い!
「信じる!信じるよっ…!」
…あまりにも必死だったのだろう。彼は一瞬目を丸くして、それから…。
「………うん。嬉しい……」
目を細めて笑ってくれたんだ。
きゅうぅっ と、胸が苦しくなる。
嬉しい。本当に嬉しい。
今まで生きて来た中で、一番幸せだと感じる出来事だった。
地面を見つめてニヤニヤとしていると、『あの…』と遠慮がちに声をかけられる。顔を上げて彼を見つめると、さっきの笑顔は何処にも無く、不安げな瞳がゆらゆらと揺れていた。
「………さっきの話…。本当なの?……逢坂さんが養子だった…って……」
「……うん。多分、本当だと思う」
そう前置きをして、あたしが見た事を全部彼に打ち明けた。