ティーン・ザ・ロック
「……取り合えずここから出よう」
「……うん」
あたしが先にトイレから抜け、その後から留美もフラフラとしながら姿を現す。
大きな柱の陰に連れ込んで座らせた。水を手渡すと、コクリと喉を鳴らして飲みこんでいる。
その音を聞きながら、聞かなければならない事を、声に出して言ってみる事にした。
聞きたくない気持ちだって無いわけじゃない。でも…やっぱり、彼女から言わないつもりなら、あたしが聞き出すしかないんだ。
「留美…。もしかして、妊娠、してる?」
「…………」
「…してるんだね…?」
「……二ヶ月目。心配しなくても要さんの子どもだから」
「……お兄ちゃんには…言ってないんだ?」
その問いには無言で頷いてくれた。ちりちりと胸の辺りが疼く。
留美が兄の子を…。でも、あたしが動揺しても仕方が無い。
「…言わないの?下ろすにしても育てるにしても言った方が…」
二人と、お腹の子どもの為に と、そう言ったのだけど。
「…要さんには言わない。言ったらあんたをコロス」
あたしを睨みながら、そんな物騒な事を言ってるけど。
「……お兄ちゃんが父親なんでしょ?だったらさ…」
「…あんたの為に言ってやってるのよ」
「……どういう事?」