ティーン・ザ・ロック
「ところで…ちょっと良いかな?」
兄もベンチの傍に来た事を確認した叔父さんが、遠慮がちに口を開いた。
あたし達の無言を了承と捉えたらしく、少し間をおいて 切り出し始めた。
「……今回の事で、キミ達は大切な両親を亡くしてしまったね。
本当に悔やんでも悔やみきれない位、私も悲しいんだ。
でも…。そればかりでは生きていけない。
残された者にはこれからがある。今考えるべきは、二人がどうやって生活をしていくかどうかだと私は思うんだ。
……二人とも、私たちと暮らさないか?」
「叔父さん…」
やはり、噂どおりの結果になるんだ。
けれど、それが一番良い事をあたしだって知っている。
「今は10月だし、葉瑠ちゃんは中学卒業を控えている。だから、出来るだけ早く結論を出して欲しいんだ。高校を探すのだって大変だからね。
勿論無理に考えろとは言わないが…。
弟が必死に守りぬいてきた家族を、今度は私たちが守らなければならない。
そう思っている事を忘れないでおくれ」
にっこりと、あの優しい笑顔を浮かべ あたし達に微笑みかける叔父さんと叔母さん。
二人はゆっくりと考えろと言ってくれたけど、こんなの迷う必要なんてないじゃないか。
「じゃあ、また後で話そう」
そう言って、兄妹だけを残して二人は去って行く。
暫し、二人の背中を見送ってから 勢いよく兄の方を向いた。
「お兄ちゃん。やっぱり二人の家に―――――――……」
お世話になるんだよね? とは、言葉が続かなかった。