ティーン・ザ・ロック









―――――――――――



「…やっと見つけたぞ」


柱の陰に二人しゃがみ込んで居る所を兄と留美に見つかった。


「…話し、出来た?」


「………ああ。


あのな、話し合って決めた事だけど…。


俺達、結婚する事にしたんだ。子どもも勿論育てて行く。


…責任って言ったら何だか悪い事したみたいだけどさ


いずれは一緒になろうって言うつもりだったのが、ちょっとだけ早まっただけなんだし…。


俺は子ども好きだからなっ!!…実は、すっげぇ嬉しい」



初年の様にはにかむ兄は、ちょっとだけ父親の顔をしていた。


留美も、先程の心配など元から無かった様に、優しい笑みを浮かべ、とても幸せそうにしている。



「その…葉瑠も、祝福してくれるか?」


心配そうに尋ねてくる兄の不安を取り除くために、それと、本当に心からの気持ちを込めて。


「…おめでとう…!!…絶対に良いパパになってね!お兄ちゃんには家族が必要なんだから!

…でも、留美のご両親、ショック受けるんじゃない?」



途中で我慢が出来ずに行ってしまった言葉の意味を勘ぐられる前に、プレッシャーをかける言葉を並べた。


そのおかげで兄を動揺させてしまったけれど、あたしが隠した想いを知られるよりはよかった。


“お兄ちゃんには家族が必要なんだから”


だって、


“あたしは本当の家族じゃなかったから…”




……そんな想い、知られるべきじゃない。



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