ティーン・ザ・ロック
「…じゃあ、悪いんだけど、先におじさん達の家に戻るわ。
お前らはどうする?ピクシーランドに行ってくるのか?」
吐き気を抑えているのか、また口を閉ざした留美の肩を抱いて、兄があたし達を交互に見てきた。
「…うん、優さんにお土産頼まれてるし…。ちょっと行ってくる」
「分かった。じゃあ、気をつけろよ」
いつもの様に笑顔を向けてくる兄を見るのが、この時が一番辛かった。
「お兄ちゃん…」
「…んー?何か用か?」
歩きかけた兄を引き留めた上に、ぽろりと洩らしてしまった感情。
「…ごめんね。ホント、ゴメン…」
「あ?何が?」
「……ううん。何でもないよ。…行って」
「…?変なヤツー」
……今までも、これからも。
あたしはお兄ちゃんをずっと誇りに思うよ。
困らせてしまうかもしれないけど、あたしはずっとお兄ちゃんの妹で居たかった。
また前みたいに喧嘩して、罵り合って、笑い合える日が来るのかな…?
もう…無理なんだよね…?
家族だと信じて疑わなかった人たちが、本当は他人だったと知った。
それだけできっかけは十分だ。
兄達の姿が見えなくなってから、唇をギュッと噛み締めて。
「……行こう」
「…うん…」
…日常に疲れたあたし達の
ささやかな、だけど大きな一歩を踏み出す為の
初めての反抗へ。