ティーン・ザ・ロック
「……逃げよう、二人で。
…君となら、何処までも行ける気がするんだ」
「…あたしもだよ…。
杉澤君となら、きっとずっと、一緒に頑張れるから」
だから
「行こう」
誰の目も気にせず、あたし達があたし達で居られる場所に。
しっかりと繋いだ手の間から、希望があふれ出てくる気がした。
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『…お荷物のお忘れ物の無い様ご確認ください。次は……』
新幹線の旅も、ここでひとまず終了だ。
彼に、行きたい場所がある と言って乗り込んだ、東北に向かう新幹線。
目的の無い旅だからと、彼は二つ返事で了承してくれた。
一時間程揺られ、下りた駅はあたしも下りた事のない駅だった。
「……ここ?」
「…多分……」
一度も降り立った事のない駅だからか、確かにこの駅だった筈なのに不安ばかりが募って来る。
でも…二人で逃げると言った時から、あたしはどうしてもここに来たかった。
東京に来る時に見た、あの大きな木を二人で見に来たかったんだ。
自然の中で暮らしたいと言っていた彼に見せたい。今はそれだけがあたしを突き動かしている。