ティーン・ザ・ロック
「ありがとう…。大切に頂きます」
「ゆっくりして行げるなら、後でまた寄ってって。今度はお茶っこ出してけっから」
「…ありがとうございます」
三人で微笑み合ってから、ゆっくりと外に出て行こうとした時。またおばさんが声を上げた。
「あんただち、一蓮托生って知ってっか?」
「…いえ」
「物事の善悪、結果の良し悪しに囚われず、行動を共にすること。
…あんただちには、そんな言葉が良くあう気がするよ」
………何故か分からないけど、とても泣きたくなった。
「……はい」
何に対しての“はい”なのか。ホントはもっと気のきいた事を言いたかったのだけど
鼻の奥がツンとなって、それ以外言葉にできなかったんだ。
彼に手を引かれ、今度こそおばさんと別れた。
すぐ側に停まっていたタクシーに乗りこんで、御神木に向かう。
一蓮托生。
タクシーから降りるまで、その言葉がずっと頭から離れなかった。
―――――――――――
ここまでしか行けない と言われて、車から下ろされた時にはもう、空が紅く色づき始めていた。
細い山道を、息を切らしながら登って
ようやく開けたその場所に
「………凄い…」
探し求めたその木はあった。