ティーン・ザ・ロック
兄は、何かを考えているようだった。
ギュッと閉ざされた口と、闘志が渦巻いている様な瞳。
何を迷う事があるのだろうか…?幸せになれる事は間違いないのに
何故兄は迷うのだろう?
「…お兄ちゃん?」
再び呼ばれて、そこでやっと自分が考え事に没頭していたのだと気付いたようだった。
「あ…ゴメン。何か言った?」
「…何も。
けど、どうしたの?叔父さんも叔母さんも、あたし達の事考えてくれてるのに。
迷ってるの?」
「……いや?…お前は心配しなくていいんだよ」
お前は、と言う事は 兄は何かを心配しているという事なのだろうか。
妙な不安が、胸の奥から湧き上がってくる。
「ねえ、あたし達…ずっと一緒だよね…?」
安心できる何かが欲しかった。
笑って『そうだよ』と言ってくれるだけで良かった。
けれど…
世の中そんなに上手く行くもんじゃないって思い知らされた。
「…全部俺に任せとけ。お前は何も心配しなくていいんだってば」
な?と、あたしの頭をポンポンと叩く兄の顔は
これまでに無かった位、ひきつった笑みだった。
その表情が、あたしの不安を更に膨張させたのだった。
これからどうなるのか、なんて
誰にも分からない。