ティーン・ザ・ロック
「…そろそろ行こうか。ここの麓に…ホテル、あったよね」
「……え…?」
彼の驚いた顔がこちらに向けられる。
「…だって、流石にここには寝れないよね…?トイレもご飯も、ここには無いもの…。
……行こう…?」
「…でも、…君は、大丈夫なの…?」
言いたい事は分かっている。でも、あたしは大丈夫だよ。
混乱なんかしてない。やけくそになった訳でも無い。
どんなホテルだって、あたしは大丈夫だよ。
「…ラブホテル、だよ…?」
分かってるよ。
「…大丈夫だから」
「……僕だって、男だし…。その、何があるか…分からない…かも」
「あのね。
…あたし、寧ろそれを望んでるのかもしれない…。
悠馬と一緒に居れるなら、何があったって良いよ…?」
そうでなければこんな事言いだしたりしないよ…。
ねぇ、知ってる…?女の方がしたたかで色々考えてるんだって事。
「…僕、君を傷つけるかもしれないよ…?それでも、良いの?」
そんな気づかいは 要らないから。
「良いよ。悠馬は…怖い…?」
「……自分の男の部分が出てくるのが、少し。…今だって君の事を考えると触れたくてたまらないのに…。
押さえられる自身なんかないから」
澄んだ目の奥から、男としての感情が少しだけ、見えた。