ティーン・ザ・ロック



「怖いんじゃないよ…。ただ…思った以上にあたしは家族を家族として見て居たんだって、今更気付いただけ」



離れて分かる事だってある。自分を客観的に見れる瞬間だって確実にあるんだ。


でも、彼はあたしよりもっと悲しそうだった。




「…帰りたい…?」


「………」



「…君には愛してくれる家族が居るんだよ。帰れる場所がある。


だから、僕となんて居なくても良いんだよ…」



違う。そんなんじゃない。


こうなった時、帰りたいと思う事は予想が付いていた。ただそれが予想以上の物だっただけで…。



こうやって泣く事で彼を傷つけることも分かっていたのに


自分を抑えられない程悲しみは強くて、どうしようもない。



「…帰る…?」



そんな顔をさせたいんじゃないのに…。涙が頬を伝うだけで、言葉が出てこない。



何度もかぶりを振って


彼の胸に顔を埋めた。




「……好き…だからッ。一緒に いようよ…」


やっと出た言葉はカッコいいものではなかったけど



「………うん。ありがとう…」


ずっと一緒に居た家族より 好きな人をあたしは取った。




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