ティーン・ザ・ロック
「…まって」
「…離して」
「……離さない」
華奢だと思っていたのに、こういう時にはちゃんと男の人の力で。
右腕に食い込んだ彼の指が、軋む。
「……聞いて」
いつもよりも低い声で……。
ずるいよ、ずるい。
こんな時だけ凛々しくならないで。
そんな顔で言われたら、拒否なんて出来ないじゃない…!!
「…わかった。聞くだけ、なら。
…だから離して…」
「……座って」
力を緩められ、ベッドの端っこに二人で腰を下ろした。
「……お兄さん、明日の朝に迎えに来てくれるって」
「…………」
「…怒ってる、よね…」
当たり前な事を聞かないで…!!
一番信じていた相手に裏切られるのは、もう沢山だと思っていたのに…。
「……ッ…」
過去も今も、あたしは誰も信じるべきでは無かったんだ。
嘘ばっかりの友達。家族すらも偽物で、挙句の果てには愛した人までもが裏切って…。
もう、沢山……。本当に逃げ出したくなる。