ティーン・ザ・ロック




足掻いて もがいて 迷って


間違った道に進む時だって確かにある。



けど、その瞬間だけは……



確かに未来は明るいと信じていた。



逃げ出す事が悪いとは言わない。寧ろ、それで良かったとも言える。





正しい結末なんて、誰も知らないんだ。



あの時ああすれば、とか


こうしなければ、とか。



そんな事を幾ら思ったって、未来は変わらない。




それが分かっただけでも大きな進歩と言えるんじゃないだろうか…?



「……ほんのちょっと、大人になった気がしない…?」



「………うん。そうだね……」



自分の浅はかさ。彼や家族の愛情の深さ。



それに、あの和菓子屋のおばさんも…。



確かに信じられない人もいるけれど、全員がそうだとは言えない。



あたしが見えていないだけで、きっと心から信じられる人はずっと前から居たんだね…。




「……お兄ちゃんに会って…自分の気持ち、全部話そうと思う…。


側に、居てくれる…?」



「…君が嫌だって言っても、側に居るよ」



笑いながら目を瞑ると、柔らかいキスが降りて来た。



……居よう、一緒に。



もう、逃げないって 決めたから………。




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