ティーン・ザ・ロック
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「……心配したぞ」
「……ごめんね、お兄ちゃん」
肌寒い位の田舎の朝。悠馬が兄にホテルの場所まで伝えていたおかげで、朝帰りの現場を身内に抑えられるという、何とも恥ずかしい状況になった。
複雑な顔をしていた兄だったが、いつもと変わらぬ口調で待たせていたタクシーに乗る様に促す。
「取り合えず、優さん達の家に帰ろう…。
みんな、心配してるから」
「……留美は…?」
「……流石については来れないからって、優さん達に見てて貰ってる。
アイツも心配、してたぞ」
…そうなのかな。
違うかもしれない。でも、本当かも知れない。
それは会って確かめるべきだと思った。面と向かって話せばきっと、留美だって本当の気持ちを話してくれると思うんだ。
この前の事だって、多分本当の事だけじゃないかもしれない。
……信じてしまって良いのか、分からないけれど。
裏切られる事ばかりを気にしていたら、誰も信じられなくなる。
……信じてていいんだ。
裏切られたって利用されたって、それはあたしの責任でもあるんだもの。
相手に信頼されない自分が悪い。
そう思えるのは、悠馬のおかげだ。
悠馬から学んだ事なんだ。彼は、あたしの為になる裏切りをしてくれたから。
向き合うチャンスをくれた。
だから…ねぇ…?これが終わったら、きっと君も笑顔にしてみせるよ……。