ティーン・ザ・ロック
だんだんと多くなっていく乗車者達に肩身の狭さを覚えながら、やっと東京駅に着き
それとは比較にならない程の人の多さだった普通電車に乗り換え
いつも利用する駅に着いた頃には、心身狼狽どころじゃ済まない位に疲れ切っていた。
「…葉瑠ちゃん…ッ!!」
駅のロータリーに出た途端、優さんが駆け寄ってくるのが見えた。
不安げな顔から、安堵からくる泣き顔に変わり、目の前に着いた時には子どもの様に泣きじゃくる始末で。
「…優さん。たった一日の家出で大げさだよ…」
「うぐっ…だ…だってッ…!葉瑠ちゃんの…つ、机にぃぃぃいい」
机…?……ああ、もしかして。
「…母子手帳?」
「そ…そうよぉ!私…っ、葉瑠ちゃんにずっと言えなかったからっ…!全部、知ってたのに…!
ごめんねっ…し…知った時、辛かったよねっ?ごめんねぇええ…っ!!」
そこまで優さんの事も苦しめてしまったんだね…。
謝るのはあたしの方だ。
でも…。
「ちょっと……恥ずかしい…」
うわぁーーーーん なんて、子どもでもなかなかしない泣き声が、人の多い駅に響き渡る。
当然の如く、視線があたし達に突き刺さって
優さん以外のあたし達は、顔を赤くしながら俯くより他なかった。