ティーン・ザ・ロック
「座りなさい」
リビングに着くとあたしと杉澤君に指示を出した叔父さん。
兄は黙ったまま、叔父さんの横に腰を下ろした。先程の呟きの答えは、ついに知る事無く別の話題に切り替わってしまう。
気になる、けど…。また留美の顔を正面から見る為には、今ある問題を解決してからでないと。
そうでなければ、留美との関係も上手くいかないのではと思った。
軽い咳払いの後
「……知ってしまったんだね?」
潤んだ瞳で見つめてくる叔父さんの瞳を見返して素直に答える。
「はい…。恭介さんに、大体の事は聞きました」
「…そうか。
…だが先ずは、君に謝らなければいけない。今まで隠していて本当に申し訳なかった」
「いえ…。皆があたしの為に隠していた事も、きちんと時期を見て話してくれようとしていた事も、分かっています」
「……それならば、何故?何故家出なんか…」
ぐっと喉に力を入れる。
なんて答えたらいいのか分からない。でも、答えは確かにある。
それをどうやって言葉にしたらいいのか、一瞬迷ったけど
素直に答える事に決めた。
話に脈絡が無くなってしまうかもしれない。それでも、考えるより先に
素直に言葉にする事が、一番理解してもらえるから。
「…逃げたかったの」
素直になるって、中々難しい。
嫌われたりしないだろうか。馬鹿な子だと思われたりしないだろうか。
そんな事を思ってしまうのは至極当然で。
…それでも、この人達が受け入れてくれる事を知っているから。
不器用だけど、精一杯の自分の気持ちを。