ティーン・ザ・ロック




だから




「血の関係よりも、今まで一緒に居た時間の方が濃いだろ。


お前も俺も馬鹿だけど


こうやって話が出来て良かった。お前の本当の気持ちも分かったし


何より、まだ兄だと思ってくれてる事が分かって良かった」




「当たり前じゃん…」



兄が思う以上に、あたしは兄の事が好きだから。



あたしから嫌いになったりする筈が無い。兄だと思って居て良いのなら、ずっと、いつまでも

貴方は私の大切なお兄ちゃんです。





「……逃げてどうする気だった?」


優さんが遠慮がちに尋ねて来た。


叔父さんはもう、涙でシャツがびしょ濡れだった。



「…分からない。何処まで行くのかも、何しに行くのかも


全然決まって無かったから。



…でも、とにかく、考える事に疲れたの。


最初は人間関係からだった。人に合わせて、ロクに自分の意見も言えなくて。

顔色ばっかり伺って作った友達は、やっぱり薄い友情だった。



自分が傷つきたくないからって、自分の事を何も知られない様にしてた。


本心を知られて傷つく事は無くなったけど


その代り、誰もあたしを信頼してくれなかったの」



それは正に対価。



さらけ出す分だけ人からの信頼は厚くなる。


けど、その分リスキーでもある。



信じてもらう前に離れて行かれる事が怖くて


あたしはその懸けから 逃げた。



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