ティーン・ザ・ロック
確かにそうだけど、でも…。それなら何でいつも自然体でいないんだろう。
「アンタ、まさかあたしが寝ても覚めても悪態しか付かない女だと思ってんの?馬鹿。超、馬鹿」
…それも顔に出ていたみたいだ。
まあ、確かにそうだよね。今まで留美の事、誤解してたな…。それも、知ろうとしなかったからだ。
「…で、話の続きだけど。
アンタ、あたしの家庭の事情なんて知らないでしょ」
「……知らない」
「…まあ、聞かれなかったし、自分から言う様な話題でも無かったから今まで言わなかったけどさ。アンタとは5年生の時に知り合ったんだっけ。
…小4の冬にうちの親、離婚してんだよね。あたしはお母さんに引き取られたんだけど、お兄ちゃんはお父さんに引き取られたの。
毎日顔合わせてた兄と全然会わなくなって寂しかった頃だったと思う。
アンタがお兄ちゃんお兄ちゃん言うから、嫉妬してたのよ。
……だからって嫌いになった訳じゃなかったし、ただ、不満を言っただけだったんだけど…。
聞いてたんだね」
「…うん。ゴメン、知らなかっただけじゃ済まされないよね。あたしがもっと留美を知ろうとしていたら、きっと親友になれたのに」
不本意とはいえ、思春期に心をえぐった事はどうあっても取り返しがつかない。
事情を知らなくても、彼女の気持ちを考えていればこんなにややこしい事態にはならなかった筈だ。
でも、もう一度謝ろうとした時。
「……あたし達、親友じゃんか」
「…え?」
思いもよらない嬉しい言葉が降って来た。
自分でも分かる程に目を丸くして留美を見ると、彼女は顔を真っ赤にして顔を反らす。