ティーン・ザ・ロック
キズヲツケタヒト
留美と兄とはそこで別れた。
留美はそのまま入院する事になったし、兄もまだ心配なのだろう。留美がちょっとでも苦しそうにすると、ナースコールを連打して看護師さん達を困らせていた。
「じゃあ、私は留美ちゃんの洋服とか歯ブラシとか、必要なものを持ってまたここに来るわね。あ、そうだ…彼女の親御さんに連絡して良いのか聞いて来なくっちゃ」
優さんがあたしと入れ替わりに部屋へと入っていく。
あたしから“兄がトイレにも立とうとしない”事を聞いた叔父さんと雪さんは、購買に飲み物を買いに行ってしまった。
「……どう、だった?…なんか、笑い声は聞こえて来たけど」
笑顔を悠馬に向けると、柔らかい表情でそう尋ねられた。
「…もうね、大丈夫だよ」
答えながら、長椅子に一人で座る彼の元へと歩み寄る。
彼は自分の座っていた位置から、少しだけ左に席を詰めてあたしの座る位置を作ってくれた。
「……ちゃんと、祝福出来たの。それって凄い事だと思わない?
…あたしも、兄も、勿論留美も。成長したって事だよね」
「…うん。……キミのそんな顔、初めて見た」
「…顔?」
思わず両手で頬の辺りを触ってしまう。そんな顔って、どんな顔…?
「……何か変な顔してた?」
マヌケな事しか聞けないのは 慌ててしまっているからだろう。
彼はそんなあたしに、益々目を細めて。
「……自分に自信を持ってる顔」
益々訳の分からない事を言ってくる。