ティーン・ザ・ロック
「…あたし、ナルシストになったつもりは無いんだけど……」
「……そういう事じゃないんだけど、まぁ、良いか」
「え!良くない!あたしは全っ然良くないよ!!」
ぎゃあぎゃあと一方的に責めるあたしに、通りかかった看護師さんが『静かにして下さい!』と叫んで去って行った。
「「…すみません」」
二人、声が重なる。
でも、もう看護師さんには聞こえていなくて。
二人で笑った。
「…ね、悠馬も話そう」
中々戻ってこない叔父さん達や優さんが居ない事を良い事に、ちゃっかり手なんか繋いでしまうあたし達。
その“繋がってる”感覚が、話を切り出すきっかけになった。
「話そう、悠馬のご両親と。
…あたしの方はうまく行き過ぎてるだけかもしれないけど…。悠馬の方がもっともっと勇気がいる事だって分かってるけど…。
でも、これを逃したら多分、一生話せないんじゃないの?
きっかけって、本当に大事だから…」
何も無い所から自分一人で踏みだすのって、本当に勇気がいる。
でも…誰かに背中を押してもらえたら。
最初の一歩がより簡単になるから。あたしはそれを知っているから。
「あたしが、ずっと側に居る。…義務感からじゃない。
ただ、あたしがそうしたいから。
何があってもあたしがキミを守るよ。だから、ほんのちょっとだけ、勇気…出してみない?」