ティーン・ザ・ロック
「葉瑠ちゃぁん…」
「…はぁい…」
顔をひきつらせながら応答する。
いつまで続くんだろうな、と考えた時だった。
「俺はね?あの時、反対したんだよ。若い二人に全て押し付けるみたいなオヤジたちのやり方に、猛烈に腹が立ったんだよ!
結果的に良かったかもしれないけど、こんな事を二人に押しつけた末に同じ結果だもんなァー。
元はと言えばぁ、幸一叔父さんがぁー…」
「「恭介(さん)!!」」
会場が一気に静まりかえる。
恭介さんの話を遮ったのは、叔父さんと兄だった。
「えぇー?」
名前を呼ばれて、『何だぁ?』と、ろれつの回らない返事を返す恭介さんを
「す…すみませんっ…!!…おらっ!あんたはもうホテルに帰るんだよ!!」
と、あたしから剥がし取って、周りにペコペコしながら会場を出ていく恭介さんの奥さん。
あたしは。
言わずもがな、訳の分からない展開に呆けているだけだった。
「や…やぁー。恭介のヤツ、酔っ払って変な事を。
ごめんね、葉瑠ちゃん。びっくりしたろう?」
叔父さんが気をつかって話しかけてくるけど
その硬い表情は、酔っ払って言った事に対する焦りのように感じる。
「いえ…。ちょっとびっくりしたけど…あたしは大丈夫…」
その返答に、少しだけ頬を緩める叔父さんだったが、周りに話を続けるように言ってから
兄と二人、会場の外へと出て行ってしまった。