ティーン・ザ・ロック
「……キミも、一緒に居てくれる…?」
「貴方がそれを望むなら…」
握っていた手に一層の力が入るのを感じた。
「…………本当にキミは…」
“僕の女神だ”
聞き取れなかったけど 勘違いかもしれないけど
あたしには確かに…唇がそう言って居る様に聞こえた。
「ん゛んッ」
大きな咳払いに、慌てて繋いでいた手を離す。
「もう、宜しいかしら?」
「優さん…!どこから見て…ッ」
「あら、私だけじゃないわよ。ねぇ、あなた、雪」
優さんの顔が近くの曲がり角を向く。その目線を追ってそちらを向くと、壁の陰から叔父さんと雪さんが気まずそうにしながら現れた。
「……なっ……なんでっ」
本当にどこから見てたの…!?一気に顔に熱がこもるのを感じて急いで俯いた。
膝の上しか映さない視界では捉えらえられなかったけれど、長椅子がカタリと鳴ったのを聞いて、悠馬が立ち上がったのだと知った。
「…すみません…あの…。聞いてたなら分かるかもしれないですけど…」
頬に手を添えながら顔を上げる。悠馬が頭を下げる。
「僕と葉瑠さんを、うちの家まで連れて行ってもらえませんか?」
顔が見えなくなる程の深いお辞儀。声だけが、彼の意思の強さを教えてくれていた。