ティーン・ザ・ロック
そう言ってから、たっぷりと時間をかけて階段を下りて来た理事長。
…顔色も優れない様だし、前に見た時よりも大分痩せた様に思える。
どこか…体調でも悪いのかな…?
でも。
「初めまして!悠馬の父親候補の、華月慎太郎(カゲツ シンタロウ)ですー。葎華の理事長やってます」
満面の笑みで握手を求められた時だけは、げっそりと扱けた頬も気にならなかった。
「やぁ、悠馬にこんな可愛い彼女が居たとはね。もしかしてキミも葎華かい?」
「あ…はい」
……何だか明るいヒトだ。
えへらっ と釣られて笑顔を作ると、理事長の隣に立っていた奥さんが
「あなた!!私はこの子と悠馬のお付き合いを認めたわけじゃないのよ!
握手なんてしなくていいのよ!!」
と、肩を怒らせて叫んだ。
「どうして?何が反対なんだい」
「…その子は、うちには相応しくないわ。自分の名前も言えない様な子なのよ?
それに、悠馬にはきちんとした女性と結婚させるって決めていたじゃないですか」
「それはそうだが…でもなぁ。互いに好き合ってる人が居るのなら…」
「だとしても。この子は駄目です。髪の毛だってこんなに明るくて…!チャラチャラしているとしか思えないですわっ!!」
……見た目で判断するなとは、あたしの口からは言えないけれど
でもやっぱり良い気はしなくて。思わずムッとしてしまう。
それを悠馬のお母さんに見られてしまったのがいけなかった。
「…ほら、その目。反抗的な態度をとるなんて、頭の悪い子のする事よ」
勝ち誇った笑みで見下され、こちらのイライラも頂点に達してしまった。