ティーン・ザ・ロック
噛み締めていた唇を開いた瞬間
「…何が可笑しいんですか」
低い声でそう言ったのは、悠馬の方だった。
彼は至って冷静に見えた。でも、怒っても居た。
静かにすごむ彼は、いつもの温厚さなど忘れてしまった様な、冷たい目をしている。
「……可笑しいわよ。自分の息子がこんなに見る目が無いとはね」
「あなたは……。
あなたはいつもそうだ。僕が選んだものをことごとく否定する。
右が良いと言えば左にしろと言い
白が良いと言えば黒が良いと言う。
今までは…出来るだけ揉めない様にしようと感情を殺して来た。
でも、今回の事だけは
あなたに従うつもりはないよ、お母さん」
「…誰に向かって口を聞いてるか分かってるの?貴方の母親は私なのよ。
産んだのも私、育てたのも私。
今貴方がこうして立っていられるのは私のおかげなの!分かる!?」
「でも、傷つけたのもあなただ」
どちらも一歩も引かぬやり取りだったが、この瞬間、悠馬の母が目を見開いて押し黙ってしまった。
その隙を突く様に、悠馬は自分の感情を母親にぶつける。