ティーン・ザ・ロック
「僕が……今までどれほど辛い思いをして来たか、分かる?
人前で肌を見せるのが恥ずかしかった。どうしても脱がなければならない時は、一人教室の隅っこに行って着替えをした。
同級生たちにからかわれた。同情の目を向けられた…!
何故かと聞かれれば小さい頃に事故に遭ったと友人に言い、自分自身にも言い聞かせて来た!
そうしなければ、アレは気が動転してやったのではなく、殺意を向けられて出来た傷なんじゃないかって…
あなたが僕を殺そうとして出来た傷だって思ってしまうから!!」
「…悠馬…。落ち着いて、ね?貴方は今混乱してるんだわ…。
…そうだわ。カウンセラーよ。カウンセラーを呼びましょう」
「落ち着くのはあなただよ、母さん。
…逃げないでよ。
今まで従順な息子でいただろ…?一度位、僕の反抗も受け入れてくれよ」
「嫌よ!そんな悠馬は悠馬じゃない!……ああ、分かった。そこの女が変えたのね。
悠馬を…返して!!」
血が出る程唇を噛み締めながら、あたしに向かってつかつかと歩み寄って来る。
「母さん!!」
「悠子!!」
「あなたなんか……ッ!消えてしまえばいいのよ!」
パーーーーーーーン………
一瞬静まり返った部屋に、肌同士がぶつかる音が鳴り響いた。
衝撃を受けた頬が、だんだんと熱を持って行く。
痛い。でも、こんなの 予想内の範疇だ。
「……言いたい事は、それだけですか」
ゴメン、悠馬。やっぱりあたしは、ただ立っているだけじゃ居られないみたいだ。