ティーン・ザ・ロック





「もし……。


もし、自分が死んでしまったら。キミには寂しい思いをさせるかもしれない。


でも、法事だとか何回期だとか…そんな煩わしい事はさせたくないんだ。


私の事を想う時間があるなら、それを子供たちに向けて欲しい。


私は君と、子どもたちが笑っているのを見るのが一番好きなんだ



って…。そう言って居たわ。


……でも、あの人は分かっていない。


勿論あの子たちの事も考えるけれど



慎太郎の事だって考えていたいのよ。死んでしまったら、それは余計にそうだわ……。



…みんな、自分の事を過小評価してるの。



悠馬だって、愛されている事を知らないだけなのに……」



「あの……悠馬…君の、お母さん…?」


「…悠子さん、で良いわ。

あんなお説教までされたんだもの。今更気なんか遣わなくて良いのよ」


皮肉交じりだったけど、微笑んでくれてるせいだろうか。何故だか嫌味には聞こえなかった。




「じゃあ、悠子さん。


あなたも自分の事、過小評価してるんじゃないですか…?」



「……そうかもしれないわね。でも…悠馬は私を恨んでいる。

それだけは分かっているつもりだわ」



「…それがそもそもの間違いだと思わないんですか?」


彼がどれほどまでにあなたを想って来たか……。


あたしじゃ役不足かもしれないけど



頑張って伝えるよ……。



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