ティーン・ザ・ロック
「彼は、あなたに振り向いて欲しくて、あんな風に振る舞っていたと思うんです。
自分の出生に複雑な事情がある事で、自分はあなたに嫌われていると思ってた。
でも、子どもにとって母親は絶対的存在です。
……あなたが顔を見る度に忌まわしい事件を思い出すから、伊達眼鏡をかけた。
あなたの喜ぶ顔が見たくて、勉強だって真面目に取り組んで来た。
ただ、表立って見えなかっただけなんです。
彼は、ちゃんとあなたを母親として慕っていますよ…」
「そう……だったの…」
本当に、みんな不器用すぎる。
深い愛情も、先入観次第で冷たく感じてしまうのだから、思い込みって本当に怖い。
それと同時に、人の想いは表面だけでは分からないと言う事も分かった。
人は変われる。
すぐにとは言わなくとも、時間をかけて ゆっくり ゆっくり。
そうすれば…いつかは互いにつけた傷跡も、見えなくなる程隠れるんじゃないだろうか。
「私、悠馬を抱きしめた事が無いの」
親になった実感がわかず
どう愛せばいいのかが分からない
「良い子ね、って誉めた事も無い。そんな親でも、変われるかしら……」
大丈夫。きっと、きっと。
「……変わろうとする気持ちがあれば、いつだって」
「…ありがとう……」
あなたは一人じゃない。
気付かないだけで、必ずあなたを愛してくれている人が居る。
甘えて良いんだ。頼って良いんだ。
頑張るのに疲れたら、人に寄り掛かって良いんだ――――――。