ティーン・ザ・ロック
クスクスと楽しそうに笑う悠子さんと、『面白いの?じゃあ、僕も笑う!』と言ってクスクス笑いを真似する風馬君の対処の仕方を考えていた時だ。
「どうしたんだい?随分楽しそうじゃないか」
二階から理事長と悠馬が顔を覗かせる。
「あら……。お話は済みましたの?」
「ああ。悠馬も納得してくれたよ」
「そう……。良かった……」
「今行くよ」
悠馬が理事長の体を支える様にして下りてくる。…そっか。全部、聞いたんだ…。
一階に降り立った二人の瞳は、心なしか赤くなっているように見える。
「……大丈夫、だよね」
「…うん。もう、大丈夫になったんだ」
そう言って見せてくれた笑顔は、風馬君のソレにも劣らない程
爽やかで純粋なものだった。
「……さ、お茶にでもしましょう?
私と彼女が……。…ねぇ、いい加減にお名前を言ったらどうなの?」
「え?」
悠子さんが訝しげに、理事長が興味心身に
悠馬が苦笑いで、風馬君は期待に満ちた眼差しを送って来る。
そんなに期待されると益々出し渋ってしまって。
「…そんなに凄い名前なの?権三郎とか?」
「悠子、それは男の人の名前だぞー。ゴン子とかは?可愛いじゃないか!」
「カマキリーー!!」
…つっこみの居ない家族コントが始まってしまった。