ティーン・ザ・ロック
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「じゃあ、そろそろ仕事にもどらなくちゃならないから…」
大きな旅行バックを持って、リビングへと入ってくる叔父さん達を無言で見つめた。
初七日も無事に済ませ、諸々の手続きも完璧に終わらせてくれた叔父さん達。
その後も心配だからと言って、結局2週間余りを一緒に過ごしてくれた。
「社長だからと言っていつまでも隠居状態じゃ、社員に申し訳が立たないからなー」
まぁ、たいした会社じゃないが
なんて自虐気味に笑ってはいるが、十分大層な会社の社長だってこと、皆知っている。
最先端の製薬会社。新型ワクチンの開発にも貢献していて、国からも信頼のある 凄い会社だ。
「今は雪(ユキ)が指示を出しているが、そろそろ戻って来て欲しいと連絡があったんだ。
本当はもっとキミ達の傍に居てやりたいんだが…」
「そうね、雪も本当は葬儀に出たかったって言ってたんだけど…。
信頼して長い間会社を任せられるのは雪しか居なかったから。…ごめんなさいね」
叔父さんも叔母さんも、心の底から申し訳ないという表情で。
雪さんと言うのは、叔父さん達の一人息子で、今25歳位だっただろうか。
とても優秀で、なおかつ優しい、あたしの第二の兄の様な人なんだ。
幼い頃から度々会っては遊んでもらっていた人なので、彼が葬儀に出席できなくてどれほど悔やんでいるか
聞かなくても察する事が出来る位には、雪さんの性格を知っているつもりだった。
だから、そんなに気を使わなくても良いのに とまで思ってしまう。
兄も同じ思いだったようで
「良いんですよ、雪さんはそれだけの責任がある人なんですから。
それに、叔父さん達にも沢山助けて頂きました。
本当にありがとうございました」
深々と頭を下げる兄に続き、あたしも頭を下げた。