ティーン・ザ・ロック
過去、現在、未来
一年半後、冬――――――――――
吐く息が白く濁り、吸う息は肺の奥までをも凍えさせる。
都会とはまた違うこの凍てつく寒さは、温暖化と騒がれる今も変わらない。
長めのマフラーを何重にも首に巻きつけ、厚手のコートに手を突っ込む。
はらはらと降りてくる小さな結晶が、頬と肩を濡らした。
「悠馬、寒くない?」
「………………………寒い」
たっぷりと時間をかけて呟いたその一言には、感情が目いっぱい詰まっていて、苦笑いを返すしかなかった程だ。
ずっと都会育ちだった悠馬は、こんなに雪が積もった世界を見る事が無かったのだから仕方が無い。それに、慣れている筈のあたしでさえこんなに凍えているのだから、尚更だろう。
それもこれも、兄のせいだ。
冬休みだろ?たまには遊びに来いよ!
そう言ったのは兄の方なのに、迎えにも来ず、こうして只二人駅のロータリーに突っ立っていることしかできなかった。
「ちょっと、もう限界…。タクシーで行っちゃおうか」
そろそろ背中に張ったホッカイロも力尽き果てる頃だ。