ティーン・ザ・ロック
夜も入るから と、簡単にシャワーを済ませ、ドライヤーの温かい風を髪に当てた。
「はぁ…。風馬君に会いたい…癒されたい……」
愛の顔を見る分には癒されるのだけど
もれなくハイテンション両親が付いてくるのが難点だ。
その分風馬君は、ヤンチャだけど親が五月蠅いとかはない。あたしの似顔絵もプレゼントしてくれるし、最早彼の先生になった気分だった。
でも……杉澤家には色んな出来事が、この一年半の間にはあったんだ。
まず、理事長が入院した。
ずっと患っていた病が、手術をしなければ悪くなるだけだと医者に言われたからだ。
入院期間は長かったけど、今では普通に生活出来る程に回復している。
再発の可能性も否定はできないが、目下のところは心配いらないと医者から言われ
理事長はある大きな決断をした。
結婚だった。
悠子さんと、正式に入籍をしたのだった。結婚式は挙げないつもりらしいが、身内だけでつつましい食事会を開いただけでも、きっと二人は満足なのだろう。
そのおかげで悠馬の名字が変わってしまったが、それは嬉しい悩みだと思う。
……本当に色んな事があった。
でも、あの身を削る様な学校生活は、もうそこには無かった。
それだけで、もう十分幸せなんだ。