ティーン・ザ・ロック
ゆっくりと頭をあげると
「…考えてくれたかい?」
叔父さんが穏やかに微笑んでいた。
「…―――はい」
質問の意図は聞かずとも分かっている兄が
まっすぐな瞳で叔父さんの目を見ている。
……あたしは、兄の決める事に従おうと思っていた。
きっと、兄なら。あたし達の未来を見据えての決断をしてくれるだろう。
そう考えればきっと、兄は二人で叔父さん達にお世話になると言うに違いない。
安心して寄りかかっていた。
兄の決める事に間違いなんてなかったから。
でも……
「…葉瑠を、宜しくお願いします」
深々と頭を下げる兄が、何を言っているのかが良く分からなくなった。
こんなの、初めてだ。
「要君?キミは、何を言っているんだ?
葉瑠ちゃんを、って…。じゃあ、キミはどうするんだ?」
「……俺は…なんとでもなります。17になりましたし、職を選ばなければ、俺一人食っていける位は稼げる」
ドンッ……
「…馬鹿を言ってるんじゃない」
ガラステーブルが鈍い音を立てる。
一度も怒った所を見た事のない叔父さんが、声を震わせ 肩を怒らせ
静かに、だけど強い怒りを表していた。