ティーン・ザ・ロック






一瞬の解放感の後、不安が次々に湧き上がってくるのを抑えられなかった。


誰も私たちを知らない。でも、知らない人の中に居るのは、何だか自分たちの存在をも否定された気分になる。


視線を感じない、話しかけられもしない。



楽でもあり、辛くもあった。



でも、自然の中で暮らしたと言っていた彼の言葉が忘れられずに、あの場所へ必死で向かった。


そして彼は感謝してくれた。



きっと、この木をずっと前から見たかったんだ、と。



それだけでもう十分だった。彼の輝く顔が見れたのと同時に、自分の心も洗われて行く様な気がした。



彼があの木を見たかったのなら



多分あたしは、その木を見る彼の表情をずっと見たかったのだと思う。




悠馬が、とても大事だ。



寡黙だけど優しさが感じられるし、たまに見せる本当の笑顔は子どもの様に無邪気だし



頑張り過ぎる所もあるけど、決してあきらめない所とか



あとは…




あたしを大切にしてくれている所が、とても好きなんだ。





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