ティーン・ザ・ロック
「何で…?お兄ちゃんが高校を辞めて働くなら、あたしだって高校なんか行かない。
お兄ちゃんが一人で頑張る必要なんか、無いでしょう?」
「…お前は女の子だろ?男が高校行かないのと、女が高校行かないのじゃ、全然違う」
「お金も無いくせに」
「いざとなったら保険金がある。…まあ、俺は使う気は無いけどな。いつかお前が結婚する時にでも、って思ってる」
「要らないよ。そんな事に使うつもりなら、今からでもお兄ちゃんと一緒に暮らしたい。
それだけのお金はあるんでしょ!?」
「……葉瑠。俺を困らせるな」
「……!!」
……何さ、何さ何さ…!!
自分だけ大人ぶって、何もかも自分ひとりで決めちゃって。
頼りがいがある良いお兄ちゃんだと思ってたけど、こんなにも人の話に耳を貸さない強情な人だとは思ってなかった。
あたしがこんなにも頼んでいるのに。
叔父さん達も、兄も一緒に暮らす事を望んでいたのに。
なんか、もう、こんな人に縋っている事に嫌気がさした。
「お兄ちゃんなんか、嫌いだ」
「葉瑠、お前なァー。思い通りにならないことだってあるんだっての」
「そんなこと分かってるもん!でも、お兄ちゃんは違うでしょ!?
話しあって思い通りにならないのと、ちゃんと考えてもらえないのは違う!!
それに、お兄ちゃんは寂しくないの…!?
頑なにあたしと離れて暮らすなんて言ってさ、そんなの…あたしだけが寂しいみたいじゃん……」
感情が次から次へと湧き上がる。
それに比例して涙も一緒に溢れ出て来た。
あたしは、何を言っているんだろう。
こんな、喧嘩腰で伝えたいわけじゃないのに
口が勝手に動いて、勝手に兄を傷つけていく。