ティーン・ザ・ロック




鈍い音を立てて箱に収まるのを確認して


停車していた車内に、逃げる様に乗り込んだ。





自分でも知らなかった醜く黒い塊。


何やってるんだろ…。


ため息を吐いた瞬間、前から走ってきた幼い男の子とぶつかってしまう。


大きく尻もちを吐いたその子は、火がついたように泣き叫び始める。


母親がやって来て『ケンちゃん!だから走らないでって言ったのに』と、ペコペコしながら去って行くのを見送って



「ホント、何やってるんだろ」


震える声で呟いた。









---------------―――――……………





新幹線に乗るのはこれで何度目だろう?


何度か母の実家まで帰省したのと、修学旅行と、あとは…。



想い出しても数えるほどしか乗っていないが、記憶ではもっと早いもんだと思ってた。



きっとそれは話し相手がいたからだろう。



たった30分しか経っていないのに、あと1時間半もこの鉄の塊の中に居るのかと思うと憂鬱で仕方がない。



仕方なくケータイを取り出し、無料のアプリを延々とやり始める。



だが、あたしは飽きるのが早いらしい。



ふと時計を見ると、時間はまだ


アプリをやり始めてから30分も経たない頃だった。




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