ティーン・ザ・ロック




ふぅ と息を吐いて、外の景色を眺める。



自分の住んでいた所からは確実に都心に近づいているというのに


開かない窓の外は、地元よりも確実に田舎だった。



関東圏内って言っても田んぼとか森がある場所もあるんだ…。



修学旅行の時にも関東に来た筈なのに、道中の記憶が殆どない事に笑ってしまう。



遠くの緑を見つめていると、森の中なのにやたらと大きな一本の木を見つけた。


あんなに沢山緑があるのに…あの一本だけが目に付くなんて。



相当な巨木なんだな、と思った瞬間



窓には暗闇しか映らなくなった。



トンネルは嫌な気分になる。ケータイを見ても電波は入らないし、何をすればいいのか分からなくなるんだ。



あまり長くないトンネルを抜けると、そこはすぐに駅だった。乗降者の慌ただしい足音を聞きながら、少しだけ寝よう と目を閉じた。



-----------―――――



“次は終点東京です。お降りの際はお忘れ物などなさらないよう……”



タイミング良くアナウンスの声で目が覚める。



薄く眼を開けると、最後に見たあの風景とはまるで違う、ビルだらけの街が目に入ってくる。



ここが東京。




あたしがこれから何年か住む、コンクリートジャングル。






< 49 / 337 >

この作品をシェア

pagetop