ティーン・ザ・ロック
ふぅ と息を吐いて、外の景色を眺める。
自分の住んでいた所からは確実に都心に近づいているというのに
開かない窓の外は、地元よりも確実に田舎だった。
関東圏内って言っても田んぼとか森がある場所もあるんだ…。
修学旅行の時にも関東に来た筈なのに、道中の記憶が殆どない事に笑ってしまう。
遠くの緑を見つめていると、森の中なのにやたらと大きな一本の木を見つけた。
あんなに沢山緑があるのに…あの一本だけが目に付くなんて。
相当な巨木なんだな、と思った瞬間
窓には暗闇しか映らなくなった。
トンネルは嫌な気分になる。ケータイを見ても電波は入らないし、何をすればいいのか分からなくなるんだ。
あまり長くないトンネルを抜けると、そこはすぐに駅だった。乗降者の慌ただしい足音を聞きながら、少しだけ寝よう と目を閉じた。
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“次は終点東京です。お降りの際はお忘れ物などなさらないよう……”
タイミング良くアナウンスの声で目が覚める。
薄く眼を開けると、最後に見たあの風景とはまるで違う、ビルだらけの街が目に入ってくる。
ここが東京。
あたしがこれから何年か住む、コンクリートジャングル。