ティーン・ザ・ロック
「ようこそ!東京駅へ!」
「えー?東京駅って何ですか~」
「え~?だってここが地元じゃないし~?」
あはは と明るい声で笑い合う。一しきり笑った後、始めに見た優しい微笑みに戻った雪さんは
「本当に…よく来てくれたね」
そう言ってあたしの肩に手を置いた。
「…これから、宜しくお願いします」
お辞儀を一つすると、雪さんは凄く嬉しそうに笑っていた。
「じゃあ、行こうか。荷物はこれだけ?」
「はい、あ。でも自分で持てますよー!」
「良いの良いの。これからちょっとまた電車移動だし。
何より女の子の荷物は持ってあげたくなるんですよ」
あたしの手から荷物を取って悪戯っぽく笑った雪さん。数年前に会ったきりだったけど、優しいのは変わらないな…。
それから普通電車に乗り換えて、家から最寄りの駅だという駅に降り立った。
「ちょっとここで待ってて。車回すから」
「はい」
近くのパーキングに置いてあるから と、ここで待つように言われ、一人入口の傍の壁に寄り掛かった。
ここは、東京駅でみた人ごみ程の人数はいないけれど、ビルは同じ位密集している。
これからあたし…こんな所で暮らしていくんだ…。
目に入った同じ歳くらいの女の子はあたしよりも背が高くて大人っぽくて。
通う高校にもこんな感じの子ばかりなのかな、と考えたら
ここに来る前以上に憂鬱になった。