ティーン・ザ・ロック
入学式
東京に来て早1週間。
その間に起こった事と言えば、雪さんと渋谷に行った事と制服を新調した事
あとは叔父さんがスクラッチで五千円当てた事だけだった。
何だかまだ気を使ってしまうが、問題は起きていない。至って順調だ。
そして今日、入学式を迎える。
まだ兄と二人で暮らしていた頃、叔父さんが送ってくれたリストには、色々な高校が書かれていたけど
今の所特に夢も目標も無いあたしには、進学校過ぎなければ何処でもよかった。
だが黄色い蛍光ペンでなぞられた高校名の上に、叔父さんの字で小さく『オススメ!』と書かれていたおかげで、あまり悩む事無く進路を決められたのだった。
私立大学付属 葎華(リツカ)高等学校
あまりレベルが高いわけではないが、何故か金持ち集団が集まる高校らしい。
詳しい事は知らないけれど、学費も相当高い筈と思って、こっそり雪さんに探りを入れてみた事があった。
すると、
「そんなこと気にしてたの?大丈夫だよ、学費はその辺の私立高校の相場よりも安い位だから。
実は父が寄付する学校でもあってね、そこの理事長は、生徒に負担をかけないように学費を安めに設定してるらしいんだ」
そう言って不安を(多少だが)拭い去ってくれた。
聞けば、雪さんもその高校と大学を卒業したらしい。
「良い高校だと思うよ。設備は整ってるし、何より学食が旨い」
身内に太鼓判を押して貰えるのは何より安心できる。
正直、学食の良し悪しは参考にならないけれど。