ティーン・ザ・ロック




先生と思われる話し声と生徒のざわめきが中から聞こえる。


…入りづらいなぁ…。扉位開けといて欲しいかった。



意を決して引き戸を開くと殆どの生徒が席に座っていて、一斉にこちらを振り向いてくる。



「ええと、一応名簿順に座って貰ってるんだが。名字は?」


「逢坂です」


「じゃあ、そこだな。座って、人数が揃うまでは自由にしていていいよ」


「はい…」




40代半ばと思われる、少し頭が涼しそうな先生が指を差したのは、窓際の列の、一番前だった。


未だに視線を感じて、速足で自分の席に向かう。


はぁ…。なんか、憂鬱だ。



このクラスには外部受験者は居ないのだろうか。


ほぼ全員が誰かと親しげに話している。幼稚園からある学校だから仕方ないと言えば仕方ないのだけれど…。



諦めて机に突っ伏そうとした時、どやどやと人が入って来た。


それで全員だったらしく、簡単に式の流れに着いて説明され、その後はすぐに体育館に移動となる。



「それじゃあ席順のまま列になって廊下に並べー。そのまま入場だから、列を崩さないように移動するように」



先生の指示でみんなが廊下に向かい、全組が揃うのを待ってから


がやがやと移動を始める。



すると…。



背中に二回、つつかれた様な感触に気付いて振り返った。


そこには髪の毛を染め、綺麗なネイルを施した女の子がニコニコと笑みを作ってあたしを見ていた。


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