ティーン・ザ・ロック
「マジ葉瑠可愛いー!なンか、無添加無着色でーすみたいな?」
「だよね?紅葉もその可愛さに惹かれたーって感じだもん」
「な…何言ってんのー!?みんなの方が可愛いに決まってるよー!!
あたしは、ほら。メイクだってしてないし…子どもっぽいもん」
「ンな事無いよ!スッピンでそんだけ可愛いんだから、メイクしたらモデル並みになっちゃうって」
ねーっ と3人は顔を見合わせて、あたしを誉めちぎる。何だか凄くむず痒かった。
地元ではいつも兄の存在を前提に置かれていたせいで、あたしに対しての話題は殆どなかった。だから、こんな風にあたしの話をしてくれて…ちょっとどころではない感動が湧き上がってくる。
「あ、ねぇ。葉瑠は何処中出身?」
紅葉がニコニコと尋ねてくる。
「えと…実は、東京じゃないんだー。東北の方の学校」
「え!わざわざ?親の仕事の都合?」
「あ…えと……」
思わず口をつぐむ。
話すにはあまりにも事情が複雑すぎた。今日出会ったばかりの彼女たちに話せるほど、あたしの心もまだ回復していない。
ちょっとだけ考えてから、『そんな感じかな』と言葉を濁した。
「…ふーん?そっかぁ。
あ、私のうちはね、親がデザイナーなの!」
「紅葉、読モやってるんだよー!!」
補足をしたのは奈津。
「そうそうー!!私なんて、紅葉が出た雑誌、全部ストックしておいてあるんだから!」
自分の事の様に自慢げに話す冬華。
あたしは話題がそれた事に安堵し、話を繋げる事に専念する。
「へー!!やっぱり可愛いもんねー!
てか、田舎じゃ読モなんて凄い人居なかったから、凄く新鮮!なんていう雑誌?」
誉めちぎったその言葉に、満足そうに微笑む紅葉。
その態度には何だかちょっと、好感は持てなかったけど…
初日に嫌われてしまっては と、必死で笑顔を作り続けた。