ティーン・ザ・ロック
「『G-HaPPy!』っていう、ギャル雑誌だよー。知ってる?」
「んー…ゴメン。見た事はある気がするんだけど、買った事は無いなぁ」
申し訳なさそうに言ってみせると、冬華が突然笑いだした。
「だって見た感じ葉瑠、ギャル系じゃないもん!ねぇ?」
……その言い方は、ちょっと傷つくんだけど。
「だねー。どっちかっつーと、森ガール的な?」
「かもしんないー!!レースとか超似合いそうーー!!ウケるー!」
奈津まであたしの事を笑っている。
勝手なイメージで勝手に馬鹿にして笑ってる。
ギャルが一番偉いみたいな、そんな言い方だった。
なんて答えたらいいのか分からず、必死に笑顔を作り続ける。
助け船を出してくれたのは紅葉だった。
「二人ともひどくなーい?葉瑠の私服見た事無いけどー、別にフツーな服装だと思うよ。
てか、髪染めて濃いメイクしたら全然誰でもギャルになるし。もし森系トカV系だったとしても、それは個人の好みの問題じゃんかー」
ちょっと拗ねたように言っただけで、奈津も冬華もしゅん と大人しくなった。
「紅葉ー…」
「葉瑠、ごめんねー。そんなつもりじゃなかったんだけど…」
「あ…別に良いよー!それにギャル系では無い事は確かなんだし…」
こんな風にしおらしく謝られてしまったら、言いたかった事もどこかに行ってしまう。
でも、意外だったのは紅葉だ。
二人と同じように笑うのかと思っていたら、言い過ぎだと言ってあたしを庇ってくれた。
きっと3人の中でリーダー核なのだろう。
可愛くて性格も良いと言える。今日会ったばかりなのに、あたしは紅葉の不思議な魅力に取りつかれていた。