ティーン・ザ・ロック
マスカラとツケマで、瞬く度に鳥が羽ばたいている様な彼女の瞳を見つめて
この人は留美とは違う。
庇ってくれる強さが有る人だ。
あたしを利用したりなんかしない。
……そんな勝手な妄想を抱いた。
「あ、そうだー!ケー番交換しよっ。赤外線~」
話題を切り替えてくれる所にも惹かれる。
多分、おそらくだけど
彼女がこのクラスで一番の権力者ではないだろうか。
言いたい事を言っても受け入れられる、そんな人なのではないかと思った。
だから。
「送るよ~」
冬華と奈津ともアドレスを交換しながら、紅葉に声をかけてもらえて本当に良かった と思っていた。
上手くいけば親友になれるのかも と。
それこそが『利用している』事だとも気付かずに。
派手なグループに招待され、自分の醜い魂胆にすら気付けない程
その時のあたしは盲目状態だった。
「何かあったらメールするねッ!」
浮かれたあたし。馬鹿なあたし。
自分が、孔雀の群れに入り込んだカラスだという事にも気付かずに。