ティーン・ザ・ロック
その後も盛り上がりを見せながら女子の自己紹介を終え、今度は教卓の前の列へと移る。
通路を挟んで隣の彼の紹介が終わると、何故かシン…と静まり返る教室。
「…?」
まるで閑古鳥でも鳴いたようだ。
教卓の横に居る教師を見てみると、ぼりぼりと薄い頭を掻きむしっている。
カタリ。
静かな教室に響くのは、幽かな椅子の音。
何が起こっているのかと、思わず右斜め後ろを振り返った。
そこには―――――――――。
俯き加減の黒髪の少年が、メガネの奥で憂いを含んだ目をさせて立っていた。
真面目そうで 笑わなそうで… 儚く消え入りそうだった。
「杉澤 悠馬(スギサワ ユウマ)です」
ポツリと、こぼれる様に。
小さな声で呟いた声は、思ったよりも低かった。
名だけを言って、彼はすぐに椅子に腰かける。拍手は…パラパラとしか起きない。
何か、複雑な事情があるようだ。
後で紅葉に聞いてみよう、と思い、前に向き直る。