ティーン・ザ・ロック
話さない方が良い、って。
何で?
でも、そう言われても腹は立たなかった。
……そうか、攻撃的な言葉じゃないからだ。寧ろ、あたしを気遣っているともとれる。
まるで、自分と話す所を見られたら迷惑がかかるとでも思っている様な…。
「…葉瑠?どうしたの?そんな所に突っ立って」
「紅葉…」
手に着いたチョークの粉を払いながら笑いかけてくる彼女に、疑問をぶつけてみる。
「さっきの事で杉澤君にお礼を言ったんだけど…。『僕と話さない方が良い』って言われたの。
…何で?何かあたしに迷惑がかかるとでも思ってるのかな?」
本人に聞いた方が確実で早い答えが返ってくるのは間違い無いのだが
あんな事を言われてしまったら、第三者に答えを求めることしかできない。
縋る様な目で紅葉を見るが、彼女は表情から笑みを無くし
言いづらそうにして、挙句の果てには忠告までしてくる始末。
「…そのうち分かるよ。
それに、彼にそう言われたのなら、言われたとおりにした方が良いわ。
彼と話している所を周りに見られたら…とばっちりを喰らうかもしれないもの」