ティーン・ザ・ロック
「とばっちり?」
どういう意味?
返答を待つも、紅葉は首を横に振るうだけで それ以上の言葉は帰ってこなかった。
「そのうち分かるから…」
紅葉が言いたくない事なら、これ以上食い下がってもかえって口を閉ざすだろう。
それに、『そのうち』と彼女が言うのなら、きっとすぐにでも答えが見つかる筈だ。
『変な事聞いてごめんね』と、その場を終結させ、話題を他愛のない物に変える。
だが、好きな芸能人の名前を聞きつつ、頭の中では杉澤君の事でいっぱいで。
彼ともっと話してみたい。
家族の事を聞いてみたい。
授業中も、お風呂に入っている時も、そんな事ばかりが頭をよぎる。
誰かの事をこんなにも知りたいと思うのは初めての事で、その欲求は留まる事を知らない。
そして…紅葉の言った事は正しかった。
知りたくて堪らなかった事は、本当にすぐそこにあったのだ。
知りたいと思っていた事を後悔してしまう程。
それは、
残酷で、悲惨で
とても悲しい、彼の物語だった――――――――――。