ティーン・ザ・ロック
杉澤君が3人の前に着くと
真ん中に居たカチューシャをした男が、その頭をくしゃくしゃと撫でまわし
「会いたかったよ悠馬君!」
そう言いながら肩を抱いて、彼を囲むようにしながらどこかに歩いて行ってしまった。
話声が聞こえなくなって、そこでようやく安心したのかみんなが急に話を再開し始める。
あたしの周りに居た冬華と奈津も、はぁーーーっと長いため息を吐いて口を開いた。
「ホント、ヤな空気ーーっ!」
「マジこっちまで被害に遭ってるみたいじゃね?」
「奈津もそう思うー?」
「思う思う!っつか、杉澤と同クラになった時点で終わりなんだって!」
そこで思わず口を挟んでしまった。
「終わり?」
二人の嬉々とした目線がこちらに向けられる。
冬華と奈津は顔を見合わせると、まるで自慢話でも始める様に、自分たちの知り得る情報全てを次々に教えてくれた。
「葉瑠は知らないんだもんね!良いよ、教えたげる。
杉澤ってさぁ、いつも一人じゃん?友達も居ないしー暗いしー何考えてるか分かんないし。
中2まではそんな事無かったんだけど、ある日突然、事件が起きたの」
そこで冬華が話を繋げる。
「そうそう。さっきのカチューシャ男!因みに2年ね。
そいつん家、すげぇ金持ちなんだけどー。噂だと財布の中に20万はいつも入ってるんだって!
で、家らが中2の時、その人の財布が盗まれて大事件になったんだー」