ティーン・ザ・ロック
そこで再び奈津。
「中3だった林田…あ、カチューシャね。
林田の学年の持ち検したんだけど出てこなくて。で、今度は2年も調べる事になってさー。
もー、ケーサツのカタクソウサ?それ以上だったよねー?知らないけどさァ!
…それで、発見されたのが
杉澤のバックの中だったワケ」
話を聞いてく内に まさか、とは思っていたけど…本当にそうなんだ…。
胸がジワリと膿んでいくような、嫌な感覚に陥る。
そんなあたしの様子など目に入っていない様子で、冬華はバックから化粧ポーチを取り出し、机の上に並べながら更に続ける。
「本人はやってないの一点張りだったけどね。
でもさ、林田はブチギレして話も聞こうとしないし、ケーサツに連絡するとか怒鳴ってるしー。
だから、教師も焦って杉澤を停学にしたんだよねー」
言いながら長い付け爪でマスカラを器用に持ち、小さい鏡を見ながら堂々と化粧を始めた。
奈津も冬華のファンデを手に取り『貸してー』と、自分も鏡に向かい始める。
もう知っている事は全て話して満足したのか、それっきり鏡の前の自分に集中し始めた二人だが、あたしには答えてもらいたい事が山ほどあった。
少し間をおいて、鏡から目を離す瞬間を狙って尋ねてみる。
「…でもさ、杉澤君はやってないって言ってたんでしょ?
その…林田さんも、話くらい聞いても良かったんじゃないかな…」
答えてくれたのは奈津だった。
「うーん。それは本人しか分かんないけど。
でも噂だと、事件の前に、杉澤と林田の間でなんかあったらしいんだよねー。
その辺の事情はうちらも分かんないし、あくまで噂だけどね」
「そっか…。ありがと」