ティーン・ザ・ロック
「じゃ、行きますか」
もうこうなったら腹をくくるしかない。
先頭を歩く巧実君の後ろを重い足取りで付いて行った。
校庭に出たが、明らかにいつもとは違う様子が目に入り、顔が引き攣る。
女子生徒が校門をくぐらず、その手前で屯っているせいだろう。
たまに聞こえる黄色い声が、あたしの表情を益々固いものにしていた。
原因はやはり彼だろう。
「あんの…馬鹿アニキ…!!」
校門に身体を預ける様にして立つその姿は、妹目からしてもかなりサマになってるけど…
自分がモテるという自覚がないだけに厄介だ。
その上、何故か兄の隣には雪さんという極上の男まで居る。これだけ注目されていては、近づくにも近づけないじゃんか…!!
「あれ、あそこに居るのがアンタの兄…」
「違うし」
「え、でも、こんな所に部外者は滅多にに来ないし。それに…ほら、
こっち見て超ガン飛ばしてるし」
ははは、と笑ってますが。巧実君、今すぐ逃げて下さい……。
あ、ほら。こっち来たし…。
「おらぁ!葉瑠の横に居る胡散臭い笑いの糞坊主!離れないとドロップキックかますぞ!!」
「はははっ!面白い兄貴だな」
…この後、本当に彼は兄の必殺技を喰らい、宙に舞いました。