ティーン・ザ・ロック
見つけたのは、母と父が花畑の前で並んでいる写真。
今年のあたし達の春休み時期に、家族みんなで観光旅行に出かけた。
正直言って、あんまり乗り気じゃなかったけど
兄が行きたいと言ったおかげであたしも付いて行くハメになった。
だから、人目も気にせずイチャイチャとする両親から離れて歩いたし
景色も見ずにケータイ画面に集中する兄とも離れて歩いた。
もしかしたらそれが反抗期だったのかもしれないけど
普通、あたしくらいの子は、親よりも友達の方が大切だろう。
あたしだって仕方なく付いてきただけだし、来たいと言った兄の方がおかしいのだと思う。
見つけた菜の花畑に興奮し、カメラを兄に投げてよこす母を
冷めた目で見た事を思い出した。
「こん時お前、ダルっそーにしてたよな」
兄が苦笑交じりで写真を手に取る。
「自分だってケータイばっか見てたくせに」
「ばーか。そんなのはフリだっての。
母さんに頼まれてたんだよ」
「はぁ?」
意味が分からない。
すると、妙にニヤニヤした顔になった兄は、まだ捲っていないページの方をトントンと叩いて
捲ってみろよ とあたしに促して来た。
気持ち悪い顔。
心の中で毒づきながら、言われたとおりにしてみる。