ティーン・ザ・ロック
「留美が、どうかしたの」
どうしても感情が口調に現れてしまう。
気に入らない気に入らない気に入らない…!!
だが、兄はあたしの様子に気がつかない。
呑気に頭を掻きながら、照れくさそうにはにかんで。
「俺、留美ちゃんと付き合うかもしんない…」
あたしの信頼を大きく裏切ってくれたのだった。
「何でそう言う事になってんの……」
ぽろりと漏れた言葉には、もう嫌悪しか混じっていなかった。
兄の事は大好きだけど、留美と付き合う兄なんて 兄じゃない。
きっとあの悪魔に心を蝕まれたんだ。
…自分でも、訳の分からない馬鹿な事を考えていると思う。
でも、本当に…
本当に嫌なんだよ……。お願いだから気付いてよ。
留美は、あたしの親友なんかんじゃないんだ。
あたしは利用されてただけなんだよっ…!!
涙が視界を覆い、思わず俯く。
俯きながら、結局あたしは、文句の一つも言えないヤツなんだと改めて気付いた。
実の兄にさえ言いたい事が言えない。
失望されるのが怖いんだ。
友達がダメなら、せめて兄の一番で居たいのに。
そんな希望も、留美のおかげであっけなく崩れ去ってしまった。