ティーン・ザ・ロック




一言呟いたきり、俯いて何も言わなくなって


そこでようやくあたしの様子がおかしいと気付いた兄。



「どうした?具合でも悪いのか?」



と、顔を覗き込んで来る。



「何でもないよ…」



「何でもないわけないだろ?そんな事くらい分かる」



……あたしが笑ってたらそんな事思わないくせに。


「…留美ちゃんも心配してるぞ?慣れない土地で風邪でも引いてるんじゃないかって」



……それ、余計に具合を悪くすることだって気付いてもないくせに。


「だから、何かあったらすぐ言え。お前、溜め込むタチだろ」



…………言えるわけないじゃん。


『あたしは兄の好きな留美が嫌いだから、付き合う事に賛成できません』


って、言う?言える筈ないよね?


…なら、あたしが今するべき事は一つしかない。





「…じゃあ言うけどさ。

大好きな親友をお兄ちゃんなんかに取られそうなんだよ?

フツーじゃ居られないって!


…あーあ。雑魚っぽいお兄ちゃんにヒロイン級の留美は勿体ないなーっ!!

でも、おめでとう…。


っつか、何でそんな事になってるワケ?ぜーーんぶ聞き出してやるんだから、そこに正座しなさい!」



笑って祝福する。それしかできないんだ。



冗談交じりでしかこんなこと言えなかったけど



十分、だよね……?





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